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チンドン屋の大将になりたかった男

『チンドン屋の大将になりたかった男/岩城宏之』(日本放送出版協会 )​

母校、国立音楽大学の学長だった、故有馬大五郎先生の伝記です。NHK交響楽団の事務長もされていました。チンドン屋の大将・・・。著者は指揮者の岩城宏之さんです。

私が入学した時にはもう退任されていましたが、姉の入学式の時、祝辞をお願いしますと言われて壇上に立った有馬先生、一言 「君たちは、自由である!」

と言って席に戻ってしまい、母は呆気に取られたそうです。その人柄はもはや伝説と化しています。

国立の伸び伸びした校風は、こうした風変わりな(?)先生達に培われてきたものです。ずっと続いていって欲しい。私の父は有馬先生のファンで、それで娘を2人も国立に入れてしまいました。

有馬先生、子どもの頃は、小学校の物置で仲間と材料を持ち寄って”すき焼き” をやって怒られたり、かなりのガキ大将だったご様子。 「おまえはネギを持ってこい、おまえは白菜」と仕切っていたそうな。

N響でもそんな風だったんでしょうか。

豪快な人柄がよくわかる、面白いエピソード満載です。

戦時中は学生や海外の音楽家を命がけで守り、「それも愉快だった」 と言ってのける男気溢れる方でもあったようです。

ヨーロッパ留学、戦後の楽界の様子など、興味は尽きません。 もう絶版になってしまったようですが、中古は手に入るようです。 音楽に詳しくない方でも十分楽しめる、愉快な本です。

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