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フォーレ 「ノクターン 第6番」Op.63


思い出の曲をひとつ。

ガブリエル・フォーレはフランスの巨匠です。Op.というのはオーパスの略で、作品番号のことです。

ノクターンは日本語で「夜想曲」ともいうんですが「夜に想う曲」という名前の通り、気まぐれで掴みどころのない曲です。頭で考えてしまうと戸惑うのですが、繊細で美しくて、捻りが効いていて。弾いていて飽きないんですね。聴くより弾いた方が楽しい曲なのかも知れません。

高校時代、全くやる気のない生徒だったんですが、この曲は珍しく自分から先生にお願いしてやらせてもらいました。先生も嬉しかったのか「夏休みは一日も遊びに行くな。日焼けして来たら許さない」と言って張り切ってくれました。結局、真っ黒に焼けて行ったんですが(笑)その学年は、ひと夏をこの曲一色で過ごせた幸せな年でした。

いま家にあるピアノは、その頃から弾いていたものです。

練習する時はいつも、飼っていた犬が足元に寝そべっていました。

窓の景色を眺めながら、犬の背中に足を乗っけて一日中。

器用に本を読みながら、時には電話でケンカの仲裁をしながら(笑)

あの膨大な時間、少しは何かの役に立っているのでしょうか。

犬はもういませんが、ピアノは今も下手な練習に付き合ってくれています。

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